この度、NEXTBLUE2号ファンドは、アジア系アメリカ人の文化的・経験的背景を考慮したメンタルヘルスケアを提供するニューヨーク拠点のスタートアップ、Anise Healthに出資したことをお知らせします。同社はAIとデータ分析を駆使して、個々の患者にパーソナライズされた治療を実現しています。
シードラウンドで$3Mを調達
Anise Healthは、Kicker Venturesが主導するシードラウンドにおいて、$3Mの資金調達を発表しました。このラウンドには、NEXTBLUEをはじめ、Authentic Heart、Change Paradox Ventures、Progression Fund、How Women Invest、Celtic House Asia Partnersが参加しました。また、米国国立精神衛生研究所 (NIMH) からの助成金も獲得しています。
アジア系アメリカ人のメンタルヘルス課題への挑戦
アジア系アメリカ人は、全人種グループの中でうつ病や不安症の増加が最も顕著であり、2020年以降に53%がメンタルヘルスを主要なストレス要因としています。また、若年成人では自殺が死因のトップを占める唯一の人種グループです。しかし、米国人口の7.3%を占めるアジア系アメリカ人は、医療機関やカウンセリングを利用する割合が最も低い現状があります。
この背景には、以下の課題があります：
- メンタルヘルスへの根強いタブー視
- 西洋中心の治療アプローチによる非適合感
- 治療の早期中断のリスク
Anise Healthの革新的なソリューション
Anise Healthは、遠隔療法、コーチング、デジタルコンテンツを統合し、患者のメンタルヘルスの改善に取り組んでいます。同社は、アジア系アメリカ人が直面する、独自のストレス要因を特定し、臨床的に検証された独自のケアモデルを開発しました。蓄積された過去のデータとAIを活用して患者データを分析し、初回診断前にパーソナライズされた治療法を提示します。また、医療従事者へのトレーニングを提供し、文化的背景を配慮した治療を支援しています。
2023年にサービス開始後、以下の成果を達成：
- Anise Health以前にカウンセリングを受けたことがない人の割合：40%以上
- 初回4回セッション完了率：97%
- 症状改善率：92%（開始12週目まで）
こうした実績が評価され、カリフォルニア州、ニューヨーク州など5州の保険会社と提携。これにより300万人以上のアジア系アメリカ人が保険適用でサービスを利用可能になりました。
デジタルメディアとの連携で拡大へ
さらに、アジア系アメリカ人向けのデジタルメディアNextSharkとの提携も発表。月間200万～400万人の読者を持つNextSharkとの連携により、さらなる患者層へのリーチを目指します。
今回調達した資金は、新たな保険会社との契約、NextSharkとの提携のような販売チャネルの拡大、新たな臨床プログラムの開発に活用されます。
NEXTBLUEがAnise Healthに投資した理由
同社が文化的背景を考慮したメンタルヘルスケアという革新的なアプローチを実際のサービスとして提供している点にあります。この手法はアカデミアで効果が立証されており、未だ十分に対応されていない市場ニーズに応えるものとして高く評価しました。
さらに、AIとデータ分析を駆使してアジア系アメリカ人のユーザーデータを蓄積し、個々に適した治療プランを提示する技術的な優位性も注目ポイントでした。データが蓄積されるほどAIが賢くなり、提案される治療の正確性が向上する仕組みにも大きな可能性を感じています。
また、Anise Healthのサービスは初期ユーザーに目覚ましい効果をもたらしており、厳しいROI基準を持つ保険会社との複数契約を実現している点が信頼性を裏付けています。
米国では初となるアジア系アメリカ人に特化したメンタルヘルスを提供するプレイヤーとして、NextSharkとの提携などを通じ、効率的に潜在顧客を獲得する戦略も同社の成長ポテンシャルを示しています。
同社のビジョンは、インクルーシブなヘルスケアを推進する起業家を支援するというNEXTBLUEのコミットメントに合致しており、今後のさらなる成長を期待しています。
