カナダ発、唾液ベースのホルモン自宅検査スタートアップEli Healthに出資しました

データサイエンスで女性の健康をエンパワーする革新

このたび、NEXTBLUE 2号ファンドは、カナダ・モントリオール発のスタートアップ Eli Health に出資しました。同社は、唾液を用いたホルモン自宅検査キット Hormometer™ を開発しています。

今回NEXTBLUEが参加したシリーズAラウンド(総額$12M)は、カナダのBDC Bankが運営する世界最大規模の女性起業家特化ファンド Thrive Venture Fund が主導。今回の調達により、同社の累計資金調達額は$20Mとなりました。

唾液ベースでホルモンの揺らぎを可視化

Eli HealthのHormometer™は、尿や血液よりも採取が簡単で日常的に使いやすい唾液を用いてホルモンを測定します。専用キットを30秒口に含み、唾液を採取。その後スマホのカメラで撮影することで結果を取得できます。月に4〜12回の検査により、一時的なホルモンデータだけでなく、ホルモンの変動パターンやトレンドを把握できる点が大きな特長です。さらに、同社独自のアルゴリズムを活用し、生活習慣の改善アドバイスも提示されます。

今年5月には、まずはベータ版としてコルチゾールとプロゲステロンの2種類のホルモン測定キットを販売開始。今後は他のホルモンにも順次対応予定です。

パーソナライズ医療の潮流とホルモンデータ

欧米では、自身の健康データを積極的に管理し、個別化された医療サービスを求める動きが加速しています。実際、アメリカ人の約半数が Oura Ring、Apple Watch、Whoop などのウェアラブルデバイスを活用しているといわれています。

これらのデバイスは主に睡眠や心拍、運動を対象としていますが、近年はホルモンバランスの変動にも関心が高まっています。女性の8割が月経前症状や更年期症状などホルモン由来の不調を経験し、3人に1人が何らかの慢性ホルモン疾患を抱えているとされています。45歳以上の男性でも4割がホルモンバランスの不調を経験すると言われています。

ホルモン検査の新たなパラダイムを創る

これまでホルモン自宅検査は尿検査を中心に、主に妊活用途として市場に展開されてきました。しかし、Eli HealthのHormometer™は、妊活のみならず、更年期やホルモン由来の不調、内分泌疾患、男性の健康など幅広い領域を対象にした、世界初の正式ローンチ製品です。同社はこの実績が評価され、CES 2025 デジタルヘルス部門イノベーション最優秀賞 を受賞しています。

データサイエンスのバックグラウンドを持つ連続起業家

共同創業者兼CEOのマリーナ・パヴロヴィッチ・リヴァス氏は、データサイエンス修士号を有し、AI分野での起業・売却経験を持つ連続起業家です。CTOのトーマス・コルティーナ氏は、機械工学・物理学のバックグラウンドを活かし、センサーテクノロジーと機械学習を融合させた独自技術の開発をリード。自社で研究所と製造インフラも構築しています。

彼女たちが目指すのは、これまで取得困難だった幅広い世代の女性・男性のホルモンデータを収集し、パーソナライズ医療やライフスタイル最適化のためのインサイトを提供することです。

NEXTBLUEがEli Healthへ投資した理由

ホルモンは女性の体調に大きな影響を及ぼす一方で、これまでホルモンと不調の関連性はブラックボックスのままでした。Eli HealthのHormometer™は、この関係性を可視化し、生活に組み込める形で改善アドバイスを提示できる点で非常に革新的だと感じています。

女性の健康領域は、これまで妊娠・出産に焦点が当たりがちでしたが、近年は更年期や慢性ホルモン疾患領域への関心が高まっています。Eli Healthは、女性の一生に寄り添うホルモンケアという現代のニーズに合致したソリューションを提供しています。

さらに、欧米では個人の健康データをもとに最適な改善策を提案するパーソナライズ医療への需要が拡大しています。Eli Healthは、こうしたニーズに応え、データの力で現代女性をエンパワーする存在になると確信しています。

同社のビジョンは、インクルーシブなヘルスケアを推進するというNEXTBLUEのコミットメントと完全に一致しており、今後のさらなる成長を期待しています。

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