女性の健康市場を25年間のExitデータで再分析【NEXTBLUEニュースレター1月号】

皆様こんにちは。日米欧の女性のウェルビーイング領域に投資をするベンチャーキャピタル、NEXTBLUEの大嶋です。

毎年1月にサンフランシスコで開催される、世界最大級のヘルスケア投資カンファレンス「JPM Healthcare Conference」。2026年も、製薬・バイオテック・デジタルヘルス・投資家が世界中から集まりました。

今年のJPM期間中には、女性の健康領域に関するレポートが複数発表されました。特に、同領域における過去25年のエグジットをまとめたレポートが投資家の間で話題になっていたので、下記にご共有します。

【注目レポート:女性の健康Exitの再定義】

今年のJPMでは、AI創薬や大型M&Aと並び、「女性の健康(Women’s Health)」に対する投資家の見方が明確に変わりつつあることを強く感じました。特に多くの投資家の間で話題になっていたのが、卵巣がんの初期検知診断技術を開発する米国スタートアップ AOA Dx が発表したレポート、「 Follow the Exits: Women’s Health 」 です。

本レポートは、女性の健康領域が「ニッチ」「Exitが弱い」と見なされてきた構造そのものに、Exitデータを用いて正面から切り込んだ内容となっていました。

2000〜2024年に公表されたExit案件は272件。そのうち159件で開示されたExit総額は約$91Bにのぼります。診断、バイオ医薬、医療機器、ハイブリッド型プラットフォームなど、幅広い領域を横断して分析が行われました。

データから浮かび上がったのは、女性の健康領域におけるExitの明確な加速です。特に2020〜2024年の5年間は過去最大の成長期となり、全Exitの約半数がこの期間に集中しています。投資家の関与拡大と、商業的成熟が同時に進んでいることを示しています。

一方で、これまで実態が正しく認識されてこなかった背景も明らかになりました。歴史的に、投資家やデータプラットフォームは、生殖医療や婦人科といった「女性に限定された疾患カテゴリ」のみを女性の健康として分類してきました。その結果、がん、自己免疫疾患、心血管・代謝疾患、神経疾患など、女性が不均衡に大きな疾患負担を抱える領域のExitは、隣接カテゴリに分散して記録されてきたのです。

Exitは存在していたにもかかわらず、女性の健康という一つの市場として可視化されてこなかった。本レポートは、その構造的な歪みをデータで示した点に大きな意義があります。

こうした分析を踏まえ、レポートでは今後の投資機会として、「女性特有疾患」だけではなく、男女ともに罹患するものの、女性により大きな影響を与える疾患領域(アルツハイマー、心疾患、GLP-1など)に注目すべきだと指摘しています。この視点は、JPM期間中にミーティングした米国ヘルスケア投資家の間でも共通認識となっていました。

女性の健康は“新しいテーマ”ではなく、正しく測られてこなかった市場。JPM 2026を通じて、その評価軸がいよいよ投資家側で書き換えられ始めていることを強く感じました。

本記事は、NEXTBLUEが運営する Femtech Global Insights の配信内容の一例です。

国内唯一の海外フェムテック/ヘルスケア特化プラットフォームとして、週3〜4本の海外ニュースを、投資家視点の解説コメント付きでお届けしています。

【イベント情報】

2026年2月6日、Tokyo Innovation Base にて、グローバルカンファレンス「Women’s Health Beyond 2026」 が開催されます。

本カンファレンスは、女性の健康を取り巻く 医療・テクノロジー・研究・投資・政策の最前線を横断的に捉え、次の10年に向けた女性の健康領域の進化を議論する国際的なイベントです。国内外のスタートアップ、投資家、研究者、企業、政策関係者が集い、グローバル視点での課題と機会を共有します。

女性の健康領域への投資を積極的に行う Oura Ringの重役 や、米国国立衛生研究所(NIH)において女性の健康研究・政策戦略に携わってきた経験を持つ専門家など、欧米の女性の健康領域を牽引するグローバルスピーカーが集結します。

※NEXTBLUE は、本イベントに 戦略パートナーとして協力しています。

【投資先ニュース】

Teal Healthは、FDA認可を受けた在宅子宮頸がんスクリーニング機器「Teal Wand」の全米展開を開始しました。2025年5月の認可取得を経て、現在は全米50州で同サービスが利用可能となっています。本サービスでは、医師の処方のもと、利用者が自宅で簡単に検体を採取できる専用キットと、バーチャル診療を組み合わせた一貫した検査体験を提供します。

「Teal Wand」は、従来のクリニックで行われる検査と同等の精度でHPV(ヒトパピローマウイルス)検査が可能なFDA認可機器です。通院の手間や心理的ハードルを大きく軽減することで、これまで検査を受けにくかった層へのアクセス拡大が期待されており、子宮頸がんの早期発見およびスクリーニング率向上に貢献する取り組みとして注目されています。詳細は こちら

Eli Healthは、CES 2026において、唾液ベースのホルモン測定プラットフォーム「Hormometer™」の拡張を発表しました。新たに、世界初となる即時テストステロン検査と、プロゲステロン検査のプレオーダーを開始し、2026年第1四半期の販売開始を予定しています。

Hormometer™ は、専用の唾液テストとスマートフォンを組み合わせることで、これまで検査ラボや数週間の待機を必要としていたホルモン測定を「自宅で数分以内に結果取得可能」な体験へと変えるプラットフォームです。新たに追加されたテストステロンおよびプロゲステロンのリアルタイム測定は、日々のストレス、睡眠、トレーニングなどの日常要因がホルモンにどのように影響するかを把握することを可能にします。詳細は こちら

国内最大規模の助産師登録数を誇り、妊娠から育児までのトータルサポートを一般消費者向けに提供する ジョサンシーズは、東京都台東区が実施する産前産後支援ヘルパー制度「あったかハンド」の助成対象事業者として、2026年1月5日より参画することを発表しました。本制度を通じ、同区在住の家庭は、公的助成を活用しながら産前産後期の家事・育児支援サービスを利用できるようになります。

同社はこれまでも自治体との連携を通じた産後ケア支援を展開しており、2025年7月1日より開始した中央区の産後ケア事業の受託では、ジョサンシーズが運営する日帰り産後ケア施設の利用希望が、それまでの約2.5倍に増加しました。産後支援ニーズの高さと、地域における受け皿整備の重要性が改めて示された形となっています。詳細は こちら

【登壇報告】

日本パートナーの井上が、 Mashing Upアクセラレーター DEMO DAY 2026 にて、女性起業家によるピッチイベントの審査員を務めました。本イベントは、3ヶ月にわたる集中プログラムを経たファイナリスト12名によるピッチ発表を中心に、事業成長と投資家・支援者との接点を創出する実践的なマッチング機会として開催されました。

日本パートナーの井上が、東京都が主催する 東京女性未来フォーラム2026 にて、女性起業家によるピッチイベントの審査員 を務めました。本フォーラムは、女性の活躍と多様なキャリア形成をテーマに、基調対談・パネル・ピッチ・分科会・交流・展示ブースから成る大型イベントとして開催されました。当日の録画は、 こちら からご覧いただけます。

NEXTBLUE 米国パートナーの 大嶋 が、スタンフォード大学 US-ATMC にて開催された公開授業 「Women in Japanese Business」 に登壇しました。

本パネルディスカッションには、日本社会に対して 事業会社・スタートアップ投資・研究機関 という異なる立場から関わってきた3名が登壇。それぞれの実体験をもとに、日本で働く女性が直面する構造的な課題や、近年見え始めている変化の兆しについて議論が行われました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。冒頭で取り上げたJPMには、過去5年ほど参加していますが、年々、女性の健康や女性VC、女性起業家をテーマとしたサイドイベントの数が増え続けており、今年も非常に密度の高い1週間となりました。

特に印象的だったのは、

① 女性の健康領域の定義が広がりつつあり、投資家の関心が従来の出産・妊娠・更年期にとどまらず、周辺領域へと拡張していること、

② 課題提起にとどまらず、「どのように投資やイノベーションを加速させていくか」という具体的な解決策に踏み込んだ議論が増えていたことです。

今後も引き続き、欧米における女性の健康・ヘルスケアイノベーションの最新動向をお届けしてまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、NEXTBLUEのFacebookおよびXアカウントでは、注目の欧米ヘルスケアスタートアップ情報を日本語で発信しています。よろしければ、ぜひこちらもご覧ください。

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