女性の健康領域で、新たなユニコーン誕生【NEXTBLUEニュースレター2月号】
皆様こんにちは。日米欧の女性のウェルビーイング領域に投資をするベンチャーキャピタル、NEXTBLUEの大嶋です。
今月は、女性の健康領域でいくつか象徴的な動きがありました。更年期遠隔医療のMidi Healthがユニコーンに到達し、市場としての成熟を感じさせるニュースが続いています。
一方で、北米ではホルモンの在宅測定といった新しいケアの入り口も広がりつつあります。制度や資本の動きだけでなく、プロダクトレベルでも変化が進んでいることを実感しています。
本号では、ユニコーン誕生の背景にある市場の変化、実際に体験したプロダクトのレビュー記事の紹介、そして投資先や国内外の最新トピックを通じて、女性の健康、デジタルヘルス市場をめぐる動きを整理します。
【今月の注目ニュース】
🇺🇸 女性の健康領域で、新たなユニコーン誕生:Midi Healthが$100M調達
米国の更年期遠隔医療Midi Health は、シリーズDで$100Mを調達し、企業評価額は$1Bに到達しました。
同社は創業当初、更年期・プレ更年期ケアに特化したオンライン診療からスタートしましたが、現在は代謝・体重管理、筋骨格系、予防医療など、女性のライフステージ全体をカバーする包括的なヘルスケアプラットフォームへと進化しています。
全米50州で保険適用の医療サービスを展開し、500名超の医師・専門家ネットワークを構築。これまでに23万人以上の患者を支援し、保険ネットワークとしては4,500万人超の女性をカバー。
女性の健康が、「ニッチ」から本格的な成長市場へ移行していることを象徴する事例として、投資家・事業会社双方から注目を集めています。
なぜ更年期が、ここまでのスケール市場になり得たのか。理由は、下記の3点にあると考えています。
① 「存在していたが、定義されていなかった」巨大ニーズ
更年期、体重管理、セクシャルウェルネスは、多くの女性にとって切実な課題であるにもかかわらず、医療制度の中では十分に扱われてきませんでした。特に更年期は、医師側の教育不足や診療慣行の問題から、「まだ生理があるなら様子見」とされることも多く、症状があっても治療に至らないケースが少なくありません。
Midiは全米50州で遠隔医療を展開することで、地域格差を解消し、「我慢するもの」を「治療対象」へと再定義しました。
② 更年期は、極めて合理的な市場
更年期は数年単位で終わるケアではなく、プレ更年期から中年期まで長期的な関係性が前提となります。患者LTVが高く、さらにがん検診、体重管理、代謝ケア、Longevityへと横展開しやすい構造を持ちます。
実際にMidiは、乳がん検診受診率28ポイント向上、大腸がん検診11ポイント向上、総医療費最大13%削減といった医療アウトカム改善を示しています。これは「社会的に意義のあるテーマ」ではなく、「保険モデルで成立する市場」であることを意味します。
③ 医療から取りこぼされていた世代の再接続
更年期世代は、これまで医療接点が少なく、システムから取りこぼされてきた層でもあります。加えて、ミレニアル世代(30〜45歳)がプレ更年期に入り始めている点も重要です。ケアを妥協しない世代が市場に参入することで、需要の質そのものが変化しています。
本記事は、NEXTBLUEが運営する Femtech Global Insights の配信内容の一例です。
国内唯一の海外フェムテック/ヘルスケア特化プラットフォームとして、週3〜4本の海外ニュースを、投資家視点の解説コメント付きでお届けしています。
【プロダクトレビュー】
北米限定:🇨🇦Eli Healthの自宅ホルモン検査を試してみた
北米でのみ販売されている、自宅ホルモン検査Eli Health(NEXTBLUE投資先)を実際に体験し、記事にまとめました。
唾液を60秒採取し、20分後にはスマートフォンに結果が表示される設計。専用機器やラボ送付は不要で、生活習慣アドバイスまで含めて完結します。
血糖値や睡眠に続き、ホルモンも“単発検査”から“継続トラッキング”へと移行するのか。AI活用とコンシューマー化が進む中で、ホルモンデータはどこまで日常化するのか。
プロダクト体験を通じて、市場の可能性と課題の双方をレビューしました。
【投資先ニュース】
Wired|🇫🇷 Nūmi、WIRED「100 Hottest Startups in Europe」に選出
母乳の細胞培養技術を開発するNūmiは、WIREDによる「100 Hottest Startups in Europe」に選出されました。
Lovable(AIによるアプリ自動生成)、Pennylane(中小企業向け会計・財務プラットフォーム)、Syntetica(ナイロン繊維のケミカルリサイクル)、altrove(AI活用の新素材開発)など、欧州を代表する急成長企業と並ぶ形での選出となります。
Nūmiは、先進的な細胞培養技術を用いて体外でヒト乳腺細胞を培養し、自然母乳に含まれる1,500種以上の生物活性分子を再現することで、牛乳ベースの粉ミルクに代わる新たな選択肢を提供することを目指しています。
日経新聞|🇯🇵「チャージスポット」運営会社がMBO ベインと組み500億円で
NEXTBLUE1号ファンドの投資先であるINFORICHが、MBO(経営陣参加型買収)により株式を非公開化すると発表しました。
米ベインキャピタルとTOB(株式公開買い付け)を実施し、総額は約500億円規模となる見込み。TOB価格は4560円で、直近終値の約2倍水準となります。成立すれば上場廃止となる予定です。
同社はスマートフォン充電レンタルサービス「CHARGESPOT」を展開し、国内トップシェアを持ちます。現在は9カ国・地域で8万台以上を設置し、海外展開を進めています。詳細はこちら。
【メディア掲載】
日経新聞|国内VC、女性の投資担当者が2割に迫る 多様な視点で起業家発掘
日本経済新聞「国内VC、女性の投資担当者が2割に迫る 多様な視点で起業家発掘」の特集にて、NEXTBLUEを取り上げていただきました。記事内では、女性キャピタリストの増加が、これまで見過ごされてきた領域への資本流入に繋がっている点が紹介されています。詳細はこちら。
【登壇報告】
日本パートナーの井上が、グローバルカンファレンスWomen’s Health Beyond 2026にて、「最新のWomen’s Healthスタートアップが直面する課題と成功要因」をテーマとしたグローバルパネルのモデレーターを務めました。
本カンファレンスには460名を超える参加者が集まり、医療・投資・スタートアップ・研究領域の関係者が横断的に議論を交わしました。
登壇者の多くが指摘していたのは、2026年は「実装と統合」が進む年になるという点です。単発のプロダクトではなく、保険・企業・医療機関との連携を通じて、どこまで持続可能なモデルを構築できるかが問われます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
米国では、生成AIを活用した健康相談サービスも次々と登場し、情報取得やセルフトリアージの入り口が大きく変わりつつあります。
データを取得するだけでなく、それをどう個別化し、日常の意思決定に組み込んでいくのか。ユーザーとして、日々さまざまなサービスを試しながら、その変化を体感しています。
今後も引き続き、欧米における女性の健康・ヘルスケアイノベーションの最新動向をお届けしてまいります。
日々の海外スタートアップ情報は、NEXTBLUEのFacebook・Xでも発信しています。ご関心があればぜひご覧ください。


