米国最大級ヘルスケアカンファレンス、HLTH現地レポート【NEXTBLUEニュースレター11月号】
皆様こんにちは。日米欧の女性のウェルビーイング領域に投資をするベンチャーキャピタル、NEXTBLUEの大嶋です。
10月後半にラスベガスで開催された世界最大級のヘルスケアカンファレンス、HLTH2025に参加してきました。今年は「AIによる医療変革」と「女性の健康のメインストリーム化」が大きなテーマとして注目を集めました。
HLTHでの現地の学びをまとめたウェビナーは、弊社が運営する情報配信プラットフォーム、Femtech Global Insightsの会員企業様限定で開催予定ですが、皆様にもその一部をお届けいたします。
【HLTH2025参加レポート】
毎年ラスベガスで行われる世界最大規模のヘルスケアカンファレンス、HLTH。今年も、デジタルヘルス、医療従事者、保険、製薬など、1万2千人以上が参加しました。
3日間、セッションやサイドイベントに参加しましたが、特に以下の5テーマが、今後5〜10年の医療・ウェルネスの方向性を左右する重要キーワードとして強調された印象です。
①女性の健康のメインストリーム化:更年期市場への注目
※下記にセッションを1つ取り上げて解説しています。
②ヘルスケアAIの本格導入:短期間でのROIの定量的証明(処理時間削減、患者アクセス向上、コスト減)が導入判断の基準へ
③製薬×D2C・デジタルヘルスの協業モデルの本格化:患者アクセス・データ・治療継続をつなぐ“コネクテッド・ケアプラットフォーム”構築が両者の共通テーマ
④機能ごとの個別プロダクト>統合プラットフォーム:電子カルテ連携・データ透明性・データ互換性が導入の決定要因に
⑤ヘルスケアのコンシューマ化:消費者はすでに “GPT並みの個別化・即時応答” を期待。既存のヘルスケア企業もこの期待に合わせて UX を再設計中
HLTHのセッション“Women are not octopuses”(タコが産卵後に死ぬことを比喩し、「人間の女性は妊娠・出産期間を終えても生き続ける」ため、中年期以降のケアの必要性を強調)では、更年期医療が“23年の停滞”からようやく動き出している現状が語られました。
誤解の発端は2002年WHI研究─平均63歳の心疾患予防試験が「HRT(ホルモン補充療法)は乳がんリスク26%増」と誤って報じられ、世界的にHRT忌避・研究停滞・医師教育の空白を招いたこと。結果として、症状が始まる35〜45歳の女性の多くが適切な治療にアクセスできず、人生の30〜40%を占める更年期にもかかわらず、米国でHRTを受ける女性はわずか5%。
医師の更年期教育は医学生で“1日”、産婦人科専門医でも“1週間”に限られ、教育不足が深刻。一方、最新エビデンスではHRTは乳がんを引き起こさず、骨・心血管・認知・泌尿生殖器の健康に有効で、必要ならプレ更年期から開始可能。こうしたギャップを埋める存在として、更年期特化型の遠隔医療や、消費者直販のHRTプレイヤーなどのデジタルヘルスの台頭も紹介されました。
詳細は、デジタルヘルス、女性の健康特化型の情報配信プラットフォーム、Femtech Global Insightsの会員の方限定で、12月9日にウェビナーを開催予定です。
【イベント案内】
【11/23開催】1日でWebサービスを立ち上げる! “非プログラマ1人起業家”向け 『Vibe Coding Bootcamp』
NEXTBLUEパートナー郡が講師となり、「ドメイン取得 → AIで30分アイデア相談 → 開発 → LP制作 → その日のうちにリリース」までを1日で走り切る、実践型イベントを開催します。
起業に必要なのは“資金”でも“完璧な設計”でもなく、“プロダクト公開”というアクションです。本イベントは「1日でローンチする」という明確なアウトプット設定を設け、起業マインドを行動に変える機会を提供します。
【投資先ニュース】
🇯🇵ジョサンシーズ、産後ケアホテル「YUARITO STAY」を日本橋浜町で提供開始
国内最大規模の助産師登録数を誇り、妊娠から育児までのトータルサポートを一般消費者向けに提供するジョサンシーズは、民間提供の産後ケアホテル「YUARITO STAY」を2025年12月7日より東京都中央区の「HAMACHO HOTEL」内で開業します。予約開始は11月7日(金)。1泊から利用可能で、パートナーや上のお子さまと一緒の宿泊も可能。助産師・看護師が24時間常駐し、心身ケアと託児サービスを一体で提供する都心初のモデルです。
背景には、退院後の移行期ケア不足や産後うつの増加といった社会課題があります。中央区は自治体として産後ケアに関心が高く、ジョサンシーズはすでに同区で日帰り型の産後ケア施設「YUARITO DAY」を運営。今回ホテル滞在型へ拡張することで、母子の多様なニーズに対応し、都市部における産後ケアの新スタンダードを確立します。詳細はこちら
Fierce Healthcare|🇺🇸Oscar Health×Elektra Health、米国初の更年期女性向け
保険プラン『HelloMeno』を導入
インシュアテック大手Oscar Healthは、更年期遠隔医療のElektra Healthと提携し、米国初となる更年期女性向け保険プラン「Hello Meno」を発表(2026年1月開始)。対象は45歳以上の閉経前・閉経期女性で、ライフステージに応じた医療アクセスを包括的かつ低価格で提供します。
Oscarはこれまでに、糖尿病(2022)、喘息・COPD(2024)といった疾患別保険プランで成功しており、今回の更年期参入はその延長線上にある戦略的取り組み。誤診や不要な治療の抑制と、女性のQoL向上を両立することで、保険業界におけるライフステージ医療の新潮流をリードしています。詳細はこちら
New York Post|ストレスが多いのはどっち? 25歳記者 vs 58歳上司、
🇨🇦唾液ホルモン検査でストレス度を比較測定
カナダ発の女性ヘルスケアスタートアップEli Healthが開発した唾液ベースの自宅ホルモン検査キット「Hormometer」が、米国ニューヨーク・ポスト紙の記者と57歳の上司との“ストレス比較”企画に採用され、話題となっています。
記者(25歳)と上司(58歳)が、それぞれ朝と夜の2回、3日間にわたり自宅でコルチゾール(ストレスホルモン)を測定。結果として、測定前は落ち着いて見えた上司のほうが、夜間に高いストレス値を示すという意外な結果が明らかに。Eli Healthのテストは、従来のラボ検査では難しかった「リアルタイムでのホルモン変動」を可視化することで、生活行動とホルモンの相関を理解しやすくする点が評価されています。
Eli Healthは、月経や更年期だけでなく、慢性的ストレスによる睡眠・代謝・免疫などへの影響を可視化し、セルフケアを促進するプラットフォームとして成長中です。詳細はこちら
Asian Hustle Network|アジア系コミュニティ向けメンタルヘルスケアの新モデル
ハーバードMBA卒の女性2名が立ち上げたAnise Healthが、アジア系や多文化背景を持つ人々に特化した“文化共感型メンタルヘルスケア”として注目されています。従来のセラピーでアジア系の患者が抱える「背景説明だけでセッションが終わる」「自分の価値観を理解されにくい」といった課題に対し、文化的理解と臨床的エビデンスを両立したケアモデルを提供しています。
同社はこれまでに10,000件以上の有償セッションを提供し、米国各州で60名以上の認定セラピストを擁するまでに成長。米保険大手BCBSなどとの連携も進んでおり、文化的背景に寄り添うケアへのアクセスを高めています。
【登壇報告】
🇺🇸UC Berkeley主催、女性起業家・投資家サミット
NEXTBLUE米国パートナーの大嶋が、UC Berkeley主催の女性起業家・女性投資家サミットにパネリストとして登壇しました。本イベントには、女性起業家・投資家を中心に100名以上が参加し、「資金調達の壁」「女性投資家のキャリア」「VC業界での持続性」などについて議論が交わされました。
ディスカッションでは、特に女性ヘルス領域の起業家が直面する「VC言語ギャップ」への対応や、ピッチ内容を“課題”から“市場機会”へと転換する重要性が強調されました。女性の健康領域の起業家は、しばしば「社会課題解決」視点が先行してしまう傾向があり、投資家が求める「市場規模」や「成長性」を論理的に示すことが投資獲得の鍵となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!HLTHでは、ヘルスケアxAIと並び、女性の健康のメインストリーム化が話題となりました。女性の健康と題されていないセッションでも、女性の健康や更年期といったワードが複数回出てきたことも印象的でした。次号でも、米国ヘルスケア、女性の健康領域のホットトピックをお届けします。
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