女性の健康2.0× M&A加速【NEXTBLUEニュースレター9月号】

皆様こんにちは。日米欧の女性のウェルビーイング領域に投資をするベンチャーキャピタル、NEXTBLUEの大嶋です。
先月のニュースレターでは、新規投資先や投資先ニュース、登壇情報を中心にお届けしましたが、今月号からは、欧米投資家たちが注目している女性の健康領域のニュースを取り上げます。ぜひ最後までお読みください。
【投資先ニュース】
EMシステムズ、🇯🇵プレカルを買収:全国ネットワーク×AI自動入力で薬局DXを加速
薬局向けレセコンで最大シェアを持つ東証プライム上場企業である株式会社EMシステムズは、NEXTBLUE 1号の投資先であり、クラウド型レセコンとAI/人的リソースを活用した処方箋自動入力サービスを提供するプレカルの買収を発表しました。今回のグループ入りにより、EMシステムズ(シェア40%超)の全国ネットワーク・業界知見と、プレカルのクラウド基盤・オペレーション力を掛け合わせ、薬局の人材・コスト・時間の課題解決を一段と推進してまいります。詳細は こちら。
🇺🇸Anise Health、日系VCからの出資・創業者インタビュー公開
アジア系アメリカ人に特化したオンライン・メンタルヘルスプラットフォームを運営するAnise Healthが、日デライト・ベンチャーズから出資を受け、創業者インタビューが公開されました。Aniseは、文化・言語背景に精通した自社雇用カウンセラーによるケアを提供し、現在はCA・NY・WA・MA・FLの5州で展開。マイノリティ当事者の体験に根差したプログラム設計により高い継続率と良好なユニットエコノミクスを実現しています。
プロダクト面では、UCバークレーやスタンフォードの専門家と連携してオリジナルのカウンセリングプログラムを開発し、セッション中の適切な問いかけを支援するAIの活用も進めています。今後はセルフラーニング型リソースの拡充や投薬管理の導入を計画し、将来的なアジア展開も視野に入れています。詳細は こちら。
米Healthcare Technology Report特集|🇺🇸Bloomlife、ハイリスク妊娠の遠隔モニタリングで実装を加速
ハイリスク妊娠特化型、母体と胎児の遠隔モニタリングプラットフォームを開発するBloomlifeのの共同創業者兼CEO Eric Dy氏のインタビューが公開されました。同社は消費者向け収縮計測パッチから方針転換し、胎児モニタリングと高血圧・糖尿病管理を統合した医療機関向けソリューションに注力しています。
電子カルテ連携により在宅ケアを臨床ワークフローに組み込み、現在は商用化初期段階で全米の医療機関とのパートナー導入を進めています。直近の資金調達も完了し、拡大を加速しています。詳細は こちら。
米Fast Company|🇺🇸Teal Health・🇨🇦Eli Health、「Innovation by Design Awards 2025」ヘルス&ウェルネス部門のファイナリストに選出
Fast Companyの“Innovation by Design Awards”ヘルス&ウェルネス部門は、人々の健康を高め医療課題を解決する製品・サービス・環境を顕彰します。Teal HealthとEli Healthが2025年の同部門ファイナリストに選出されました。Teal Healthは在宅型子宮頸がんスクリーニングの普及に取り組み、Eli Healthは女性の健康分野でデータ駆動型なケアの実装を進めています。詳細は こちら。
【登壇報告】
NEXTBLUE x Femtech Community Japan共催ウェビナー
ヘルスケア・女性の健康領域の欧米トレンドウェビナーを開催し、投資家・事業会社・スタートアップの方など、約100名の方にご参加いただきました。
大嶋のプレゼンでは、欧米の投資動向、米国でAIツールが急速に普及する背景、トランプ政権の政策の影響や、女性の健康領域の注目トレンドを幅広く解説。井上、大嶋が登壇したパネルでは、日米比較や日本市場への示唆について議論しました。
共催いただいたFemtech Community Japan様のブログにて、 録画動画が公開されておりますので、こちらもぜひご覧ください。
【今月の注目記事】
🇺🇸NfX Venturesブログ記事|女性の健康2.0:不妊治療の枠を超える巨大未開拓市場への投資機会
📝概要
① 女性の健康2.0—不妊の先へ
従来の妊娠・出産中心から、更年期や女性特有疾患に加え、自己免疫・心血管など女性に負荷の大きい疾患へと対象が拡大しています。
② なぜ今なのか(5つの背景)
・AI/画像解析・体外データの進展でデータ不足が急速に解消
・TAMの再評価で「女性は特殊ではない」ことが可視化
・領域定義の拡張(子宮領域に限定しない)
・症状管理から原因治療へのシフト
・大手製薬の本格参入とスタートアップ連携の加速
🌊NEXTBLUEコメント
米国の女性の健康領域の投資家コミュニティで話題になった記事です。著者のNfX Venturesは、AUM14億ドル超、ユニコーン25社、複数のIPO実績を持つ著名ジェネラルファンド。特筆すべきは、女性の健康特化型ではない大手ジェネラルファンドが、この領域を有望なビジネス・投資機会と明言していること。これは、女性の健康が「ニッチ」から「メインストリーム」へと位置づけを変えつつある良い兆しです。
概要を下記にまとめますが、長年の「研究不足→投資不足→イノベーション停滞」の悪循環は、技術やAIの進歩によって断ち切られつつあります。診断・治療の精度とスピードが向上し、製薬×スタートアップの共同開発で新たなホワイトスペースが開けています。
米Axios特集|M&A加速:Remedy Medsが、Thirty Madisonを$500Mで買収
📝概要
Remedy Meds(2024年創業、GLP-1処方の遠隔オンラインクリニック)は、ニューヨーク拠点のテレヘルス大手 Thirty Madison を$500Mで買収すると発表しました。Thirty Madison傘下のKeeps(男性薄毛)、Nurx(女性の健康)、Cove(片頭痛)などのブランドを統合し、診療と薬配送をDTCモデルで一体提供します。
🌊NEXTBLUEコメント
単一機能・単一診療では単独IPOが難しい環境で、マルチブランド/マルチ診療の“プラットフォーム化”は上場・資本調達の現実解になり得ます。さらに、GLP-1という高ARPU入口から女性の健康・片頭痛・消化器など慢性領域へクロスセルを広げることで、継続投薬・サブスク型のモートを形成し、マーケROIを最大化できます。
RoやHims & Hersが同様戦略でスケールする中、Remedyが「自社開発より買収統合」を選んだのは、資本効率と市場投入速度の観点で合理的です。フェムテックを含むコンシューマー主導ヘルスは再編が進み、規模・ブランド力・データ資産を備えた少数のプラットフォームに収斂していくと考えます。
【登壇情報】
米UC Berkeley|大嶋、女性投資家・起業家イベントに登壇(10/24)
NEXTBLUE米国パートナー大嶋が、10月24日(金)にUC Berkeleyが主催する女性投資家・起業家イベントの投資家パネル「Funder Panel: The ROI of Investing in Women」に登壇します。詳細は こちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!今月は、 投資先のTeal Healthが登壇したイベントなど、サンフランシスコ市内での女性の健康領域のイベントに複数参加しました。10月は、 SF Techweek(昨年は400以上のイベントが開催された、テック系イベント週間)、 HLTH(ヘルスケア関連の大型カンファレンス)にも参加予定ですので、来月号でハイライト予定です。
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