米国発、AIで子どものオンライン体験を守る新たなインフラSage Havenに出資しました

子どものデジタル体験に「安全な入り口」を

このたび、NEXTBLUE 2号ファンドは、子ども向けの安全なメッセージ・通話アプリを開発する米国スタートアップ Sage Havenに出資しました。

今回NEXTBLUEが参加したプレシードラウンド(総額$3M)には、Andreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Accelをはじめとする著名VCのスカウトファンドに加え、元米大統領候補でNoble Mobile共同創業者のAndrew Yang氏、SoFi共同創業者のDan Macklin氏らエンジェル投資家も名を連ねています。

Sage Havenは、子どもが初めてオンラインコミュニケーションを始める初期段階に特化したアプリを提供しています。AIを活用し、不適切なメッセージを送信前に防ぐ機能や、より思いやりのあるコミュニケーションを促す仕組み、さらに保護者が連絡先の承認や会話の把握を行える管理機能を備えています。

近年、子どものデジタル利用は低年齢化しており、グループチャットは小学校低学年から始まるケースも珍しくありません。一方で、オンライン上でのいじめや不適切コンテンツへの接触、スマートフォン依存といった課題が顕在化しています。実際に、米国ではティーンの約58%がオンライン上でのいじめを経験しているという調査もあり、問題は年々拡大しています。

Sage Havenは、この「最初の数年間」を安全に設計することにフォーカスしたプロダクトです。

AIによってコミュニケーション体験そのものを設計

Sage Havenの特徴は、単なる利用制限ではなく、「体験そのものを設計する」点にあります。

  • AIチェック機能:有害なメッセージを送信前に検知し、未然に防止
  • AIによる声かけ:より思いやりのある表現になるよう、子どものコミュニケーションを自然にサポート
  • 親向け管理機能:保護者が連絡先の承認、メッセージの確認、AIによるアラートや週次レポートを自身のスマートフォンから一括管理
  • 既存アプリとの互換性:子どもには専用の電話番号が付与され、友人や家族はiMessageやGoogle Messagesなど従来のアプリをそのまま利用可能。周囲の環境に依存しない導入が可能

このように、子どもの体験と保護者の安心の両方を両立しながら、現実の利用環境に無理なく組み込める設計となっています。

また、スマートフォンの使用を遅らせたい家庭向けに、スマートウォッチやタブレットにも対応。子どもの成長に合わせて保護レベルを調整できる柔軟性も備えています。

創業から売却までを経験した連続起業家が挑む、次世代のためのプロダクト

Sage Havenは、姉妹であり母親でもある連続起業家のKate Doerksen氏とAnne Pizzuti氏によって創業されました。

Kateは、AR/AI技術を活用し、オンラインでメガネの試着を可能にするサービスDITTOを創業し、同社をグローバルで年間7,000万人が利用するプロダクトへと成長させました。11年にわたる事業構築の後、2021年にKKRおよび1-800 Contactsへ同事業を売却しています。

同社の着想は、家族が直面したオンライン上でのいじめやメンタルヘルスの課題にあります。子どもが初めてデバイスを持ち、親の見えないグループチャットにアクセスする瞬間——そのリスクを実体験として認識したことが、プロダクト開発の出発点となりました。

NEXTBLUEがSage Havenに投資した理由

子どもたちのオンライン上での安全は、米国で最も緊急性の高い社会課題の一つになっています。

米国では子どものデジタル利用開始年齢が急速に低下しており、10歳までに約40%が自身のスマートフォンを持ち、8〜11歳の約60〜80%がメッセージアプリを利用しているとされています。また、13歳未満でも多くの子どもがSNSアカウントを保有しており、オンライン上でのいじめや不適切コンテンツへの接触は、もはやティーンに限らない問題となっています。

こうした背景から、米国では文化的・立法的な機運も急速に高まっています。社会心理学者Jonathan Haidtが2024年に出版した『The Anxious Generation(不安の世代)』は、スマートフォンとオンライン利用が子どものメンタルヘルスに与える影響を膨大なデータで示した一冊です。NYタイムズ・ベストセラーリスト第1位を獲得し200万部以上を売り上げ、時代を定義する書として広く読まれています。本書がきっかけとなり、アメリカ各州で学校内スマートフォン禁止の法整備が相次ぐなど、文化・政策の両面に実際の変化をもたらしています。

SNSとオンライン利用がメンタルヘルスに与える影響を指摘する研究が広がる中で、保護者の67%がより強い規制を求めており、それに呼応する形で年齢確認や保護者同意を義務付ける法規制も連邦・州レベルで進展しています。

こうした議論の中心はSNSにあるものの、実際には多くの子どもが最初にオンラインコミュニケーションに触れるのは、日常的なメッセージングです。特にグループチャットは小学校年代から始まるケースも多く、いじめや不適切なやり取りへの接触もこの段階から発生しています。一般的なメッセージングアプリ(iMessageやGoogle Messagesなど)は主に大人向けに設計されており、安全性よりも利便性やエンゲージメントが優先される構造にあります。一方で、既存の子どものネット利用を管理するツールは、外部から監視する「後付け」の仕組みに留まり、問題が発生した後に通知するなど対応が後手に回りがちです。またUXの複雑さや不具合により、継続的な利用が難しいという課題も指摘されています。

このような大きな流れの中で、Sage Havenはほかのプレイヤーとは根本的に異なるアプローチを取っています。既存アプリの上に監視レイヤーを被せるのではなく、子ども向けのメッセージング基盤そのものをゼロから再構築しています。iMessageやGoogle Messagesとの相互運用性を確保しながら、有害なメッセージを送信前にブロックするAIチェック機能、子どもが思いやりのあるやりとりができるような声かけ機能、保護者が自分のスマホからすべてを管理できる仕組みを一体化した設計です。

こうした市場のニーズに確信を持てた一方で、投資の決め手となったもう一つの柱がチームの強さです。KateのDITTOでのプロダクト開発からスケール、エグジットまでを一貫して経験している点は、本領域において極めて重要な強みです。また、CTOを含むコアエンジニアチームはDITTO時代から長年共に働いてきたメンバーで構成されており、AIやデータ、プライバシーに関する深い技術的知見を有しています。

子どものオンライン体験は、「アクセスを制限するか」ではなく、「いかに健全な使い方を育むか」という問いへと移行しています。Sage Havenは、この転換点において、プロダクトとインフラの両面からアプローチできる数少ないプレイヤーです。

Sage Havenは、子どもたちがテクノロジーと健全な関係を築くための、新しいスタンダードを提示しようとしています。私たちはその挑戦に強く共感し、今後の成長を共に支えていきます。

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